1/15 ツーフィンガー鷹

最近なんとなくユン・ピョウの魅力に最近改めて気付き始めて、古いDVDを見返しています。

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ツーフィンガー鷹

邦題:ツーフィンガー
原題:勇者無擢
香港公開:1979年
監督:ユエン・ウーピン
出演: ユン・ピョウ、レオン・カーヤン、クワン・タッヒン、ユエン・シュンイー 他
上映時間:88分
製作国:香港

1979年に猿拳で映画主演デビューしたユン・ピョウの同年の作品。
ユエン・ウーピン監督作です。
師父役は元祖 黄飛鴻(ウォン・フェイホン)役 クワン・タッヒン。

洗濯屋を営む姉弟の弟タン(ユン・ピョウ)は気弱な性格の青年で、ツケの集金に行っても追い返された上に新しい洗濯物を受け取ってきてしまう始末。
高名な武術家で医者でもある黄飛鴻の弟子のフォン(レオン・カーヤン)とは義兄弟で、集金を手伝ってもらったりしていました。
そんなある日、タンは犯罪者白虎(ユエン・シュンイー)に謂れのない恨みで命を狙われる羽目になり…。

なんとなく定石だと兄貴分のフォンがもう少し早く殺されて、その後 黄師父から特訓を受けみっちりしごかれて敵役の大花面(白虎)を討つ…!となるのだと思いますが、この作品ではそういう描写はありません。
エピソードとして描かれていないだけで黄師父の指導はがっつり受けていたのかもしれませんが、恐らく元々姉の命令でやらされていた「洗濯しながらのカンフー」でタンの基礎はほぼ出来ていたということのようです。
腕前は師父をして「鷹の爪拳は既に会得した」と言わしめるほど。
それでも気弱さ故に戦うことからは逃げ腰でしたが、兄貴分のフォンが大花面に殺されてしまったことにより、怒りでタンは生来の臆病さを捨て去ることが出来た…と私は捉えました。
見る人によってそこは解釈が変わるかも知れません。

この映画はたぶんかなり見る人を選ぶと思います。
まず白虎がゴキブリ(?)をちぎって食べようとする(?)シーンがあります。
更には生きた鶏の頭をちぎり投げ捨てるシーンも…。勿論CGなんてない時代。ガチのやつです。
古い香港映画にはままある演出ですが、苦手な方は視聴なさらない方が良いかもしれません。
そしてタンが大花面に追われるシーンはどう見ても殺人鬼モノのホラー映画なのです。
そういう映画が苦手な方にも残念ながら向いていないかと思います。

たぶんトラウマになる人もいると思うので、はっきりとお勧めとは言い辛い映画です。
お話しは一応筋がきちんとありますし、ハラハラします。
レオン・カーヤンのカンフーの動きは猿拳の時よりもかなりキレが出てかっこいいです。
獅子舞のシーンも迫力がありとても美しかったと思います。
隈取のせいなのか、白メッシュの髪型のせいなのか、大花面姿のユエン・シュンイーが イカレてるにも関わらず妙に色っぽく見えたりもしました。
強いのかよく分からない洗濯戦法も、ユン・ピョウがキレキレなので面白いけどかっこいい…ような気がします。
ゴシゴシ攻撃は普段洗濯板を割るほどの力で服を洗っていたようなので、やられたらきっととても痛いのでしょう。そうに違いない。
そして個人的には何よりも、大花面に追われて怯えて逃げ惑うユン・ピョウがまだあどけなく、とてつもなく可愛く見えます。
香港映画のコミカルな楽しさとエグさ、残虐性の詰まった作品。